【特別企画】コンパクトボディに多彩な機能、オールマイティな1台
ティアックの戦略プリメイン「AI-303」徹底研究!【Part1】ヘッドホン&スピーカーでデスクトップオーディオを遊び倒す!
最先端のスペックと音質を追求しながらも、お手頃な価格設定でまさにオーディオファンの理想的なプロダクトを送り出し続けているティアック。その最新モデルは、なんとHDMIを搭載したUSB-DAC&プリメインアンプ「AI-303」。ティアック初のHDMI搭載機という点でもすでに大きな話題となっているが、コンパクトボディに最先端のデジタル再生の可能性を詰め込んだまさに超戦略的モデルである。
その確かな製品クオリティは、VGP2023においてもピュアオーディオ部会で「企画賞」、ライフスタイル分科会で「コンセプト大賞」を受賞していることからも窺い知れる。だが、AI-303はあまりに多機能すぎて、一回ではとてもその魅力をお伝えしきれない…! ということで、今回はデスクトップオーディオとしての使いこなしを高橋 敦氏に、テレビと連携したリビングオーディオの提案を折原一也氏に解説いただき、シチュエーションに合わせて楽しめる「AI-303」の魅力に多角的に迫ってみたいと思う。
まず第一弾は高橋 敦氏に、「AI-303」のデスクトップオーディオ&ヘッドホン再生の楽しみについて語っていただこう。
今回紹介する「AI-303」は、コンパクト&ハイCPなラインとして登場した「Reference 300」シリーズのスタイルを受け継ぐ2023年最新モデルだ。eARCとCECに対応するHDMI端子を遂に搭載し、テレビとの接続&連携もさらに捗るアンプとなった。
300シリーズといえば、2014年に発売されたUSB-DAC搭載プリメインアンプでヘッドホン出力も備えた「AI-301DA」が、デスクトップ・オーディオ向きのオールインワン機としても人気を獲得。筆者も含めテレビ周りに導入したユーザーも少なからず。各所がアップデートされた後継機「AI-301DA-Z」も合わせて、プリメインアンプの「小さな銘機」と言ってよいだろう。
「AI-303」は300シリーズの第三世代機となる。そのHDMI端子を使ったテレビ周りでの活用については別記事に譲り、こちらではデスクトップオーディオにフォーカスして、そのポテンシャルや機能性をチェック。本機の音や機能が実践的なシチュエーションでどのように活躍するのかを紹介していこう。
本機の使い勝手の大前提は幅215×高さ61×奥行257mmのコンパクトさ。デスクトップにもテレビ周りにも無理なく設置できる。クラスDアンプ採用で低消費電力≒低発熱なので、設置場所の通気にもさほどシビアではない。
その設置性に加えて今回は特に、多様な機器との接続性が大幅に強化されている。前述のHDMI入力追加のほか、USBとBluetoothにも大きな変化と進化があるのだ。USB入力端子は従来のB端子からUSB-Cに変更。
現在USB typeC搭載機は着実に数を増やしている。Androidスマートフォンや多くのDAPもtypeCを標準搭載してきているので、PCレスでもハイレゾ再生を実現できるというのは大きなポイント。ちなみに、C-Cケーブルは今回のテストで、一般的な付属ケーブルのようなものでも問題なく動作することが確認できた。
Bluetoothコーデックは従来のSBC/AAC/aptXに加え、いわゆるハイレゾ級のLDAC/aptX HDへの対応を追加。機能面ではマルチポイント接続にも対応した。
筐体周りでは脚部が3点支持の「Stressless Foot」となった。筐体底面にぶらぶら吊り下げる形で半固定されているこの脚部の自由な動きによって、より自然な響きを得られるという。
他にも下記のような注目点があるが、これらは以降の音質チェックに含めて紹介していく。
<継続&強化された機能>
●高精度アナログボリューム
●CCL回路採用ヘッドホン・アンプ
<新規に追加された機能>
★自然な音場再生を得られるクロスフィード機能
★グランドセパレート接続対応3.5mm/4極ヘッドホン出力
デスクトップでのスピーカー再生から確認していこう。ブックシェルフ・スピーカーKlipsch「R-50M」と組み合わせ、DAPとUSB接続してのハイレゾ音源ファイル再生を中心に試聴。左右スピーカーと筆者頭部でおよそ1辺60cmの正三角形ポジションとなるニアフィールド・リスニングだ。
様々な楽曲を聴いて総合的に、やや大柄で存在感のある音像を描き出しつつ、重厚さよりもスピード感の印象が先に来るのが持ち味。ナチュラルな感触のキレと抜けが心地よい。
だが実はそれはアンプ云々というよりKlipschスピーカーの持ち味そのもの。つまりAI-303側の持ち味は「スピーカーのポテンシャルを素直に引き出す」というアンプ本来のそれというわけだ。システムの音の個性作りはスピーカー側に任せればよし。
対してシステムの使い勝手の面ではこのアンプこそ主役。
特に大活躍してくれるのは「高精度アナログボリューム」だ。ノブの動きを値として読み取り、その値を抵抗ラダー型アッテネーターに反映して音量を調整する方式を採用。一般的な可変抵抗器方式と比べて音質ロスも左右の音量ズレも少なく、その差は小音量再生時に強く現れる。加えて最小音量付近での細かな調整もしやすい。
スピーカーとリスナーの距離が近いデスクトップ設置では、アンプは小音量設定で使用されがちだ。その小音量領域での高音質と調整しやすさはこのアンプの大きな強みと言える。
左右chの音をなじませてセンター寄りにまとめてくれる「クロスフィード」にも注目。主にはヘッドホン再生に向けの機能だが、スピーカー再生時にもニアフィールド独特の聴こえ方の緩和手段として有効だ。ニアフィールドで聴くと音像やその配置が現実離れしたほどにくっきりしすぎてて何かバーチャル空間っぽい……みたいな違和感を覚える場合、クロスフィードを使うとそれを適度に馴染ませることができる。
その確かな製品クオリティは、VGP2023においてもピュアオーディオ部会で「企画賞」、ライフスタイル分科会で「コンセプト大賞」を受賞していることからも窺い知れる。だが、AI-303はあまりに多機能すぎて、一回ではとてもその魅力をお伝えしきれない…! ということで、今回はデスクトップオーディオとしての使いこなしを高橋 敦氏に、テレビと連携したリビングオーディオの提案を折原一也氏に解説いただき、シチュエーションに合わせて楽しめる「AI-303」の魅力に多角的に迫ってみたいと思う。
まず第一弾は高橋 敦氏に、「AI-303」のデスクトップオーディオ&ヘッドホン再生の楽しみについて語っていただこう。
プリメインアンプの「小さな銘機」。ティアック “300番台” の第三世代機が登場
今回紹介する「AI-303」は、コンパクト&ハイCPなラインとして登場した「Reference 300」シリーズのスタイルを受け継ぐ2023年最新モデルだ。eARCとCECに対応するHDMI端子を遂に搭載し、テレビとの接続&連携もさらに捗るアンプとなった。
300シリーズといえば、2014年に発売されたUSB-DAC搭載プリメインアンプでヘッドホン出力も備えた「AI-301DA」が、デスクトップ・オーディオ向きのオールインワン機としても人気を獲得。筆者も含めテレビ周りに導入したユーザーも少なからず。各所がアップデートされた後継機「AI-301DA-Z」も合わせて、プリメインアンプの「小さな銘機」と言ってよいだろう。
「AI-303」は300シリーズの第三世代機となる。そのHDMI端子を使ったテレビ周りでの活用については別記事に譲り、こちらではデスクトップオーディオにフォーカスして、そのポテンシャルや機能性をチェック。本機の音や機能が実践的なシチュエーションでどのように活躍するのかを紹介していこう。
機能的な見どころ:多様な機器との接続性を強化&アップデート
本機の使い勝手の大前提は幅215×高さ61×奥行257mmのコンパクトさ。デスクトップにもテレビ周りにも無理なく設置できる。クラスDアンプ採用で低消費電力≒低発熱なので、設置場所の通気にもさほどシビアではない。
その設置性に加えて今回は特に、多様な機器との接続性が大幅に強化されている。前述のHDMI入力追加のほか、USBとBluetoothにも大きな変化と進化があるのだ。USB入力端子は従来のB端子からUSB-Cに変更。
現在USB typeC搭載機は着実に数を増やしている。Androidスマートフォンや多くのDAPもtypeCを標準搭載してきているので、PCレスでもハイレゾ再生を実現できるというのは大きなポイント。ちなみに、C-Cケーブルは今回のテストで、一般的な付属ケーブルのようなものでも問題なく動作することが確認できた。
Bluetoothコーデックは従来のSBC/AAC/aptXに加え、いわゆるハイレゾ級のLDAC/aptX HDへの対応を追加。機能面ではマルチポイント接続にも対応した。
筐体周りでは脚部が3点支持の「Stressless Foot」となった。筐体底面にぶらぶら吊り下げる形で半固定されているこの脚部の自由な動きによって、より自然な響きを得られるという。
他にも下記のような注目点があるが、これらは以降の音質チェックに含めて紹介していく。
<継続&強化された機能>
●高精度アナログボリューム
●CCL回路採用ヘッドホン・アンプ
<新規に追加された機能>
★自然な音場再生を得られるクロスフィード機能
★グランドセパレート接続対応3.5mm/4極ヘッドホン出力
ブックシェルフスピーカーでチェック。スピーカーの持ち味を引き出してくれる
デスクトップでのスピーカー再生から確認していこう。ブックシェルフ・スピーカーKlipsch「R-50M」と組み合わせ、DAPとUSB接続してのハイレゾ音源ファイル再生を中心に試聴。左右スピーカーと筆者頭部でおよそ1辺60cmの正三角形ポジションとなるニアフィールド・リスニングだ。
様々な楽曲を聴いて総合的に、やや大柄で存在感のある音像を描き出しつつ、重厚さよりもスピード感の印象が先に来るのが持ち味。ナチュラルな感触のキレと抜けが心地よい。
だが実はそれはアンプ云々というよりKlipschスピーカーの持ち味そのもの。つまりAI-303側の持ち味は「スピーカーのポテンシャルを素直に引き出す」というアンプ本来のそれというわけだ。システムの音の個性作りはスピーカー側に任せればよし。
対してシステムの使い勝手の面ではこのアンプこそ主役。
特に大活躍してくれるのは「高精度アナログボリューム」だ。ノブの動きを値として読み取り、その値を抵抗ラダー型アッテネーターに反映して音量を調整する方式を採用。一般的な可変抵抗器方式と比べて音質ロスも左右の音量ズレも少なく、その差は小音量再生時に強く現れる。加えて最小音量付近での細かな調整もしやすい。
スピーカーとリスナーの距離が近いデスクトップ設置では、アンプは小音量設定で使用されがちだ。その小音量領域での高音質と調整しやすさはこのアンプの大きな強みと言える。
左右chの音をなじませてセンター寄りにまとめてくれる「クロスフィード」にも注目。主にはヘッドホン再生に向けの機能だが、スピーカー再生時にもニアフィールド独特の聴こえ方の緩和手段として有効だ。ニアフィールドで聴くと音像やその配置が現実離れしたほどにくっきりしすぎてて何かバーチャル空間っぽい……みたいな違和感を覚える場合、クロスフィードを使うとそれを適度に馴染ませることができる。